『ミシュランガイド京都・大阪2024』に掲載された大阪エリアの寿司店は全14店で、二つ星獲得が1店、一つ星獲得が7店、ビブグルマン獲得が4店、セレクテッドレストランが2店だった。昨年2023年の大阪エリアの寿司店の掲載は全16店だったので2店減少した。
「松寿司」が新規掲載になった。
目次
鮨 原正|天王寺区
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和の風情に満ちた数寄屋造りの店内。石川功氏とすし職人が各々のつけ場に立ち、二人ですしを振舞う。おまかせは魚を満喫できるように品数が豊富。旬の種を色々味わってほしいと小振りに握る。鮪は醤油に漬ける時間を短く、穴子の煮詰めは甘さ控えめに。つまみは、日本料理の経験を発揮する。
MICHELIN Guide (2024)
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鮨 ほしやま|北区
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天神橋北詰近くに位置。大川を眺めながら旬のすしを満喫できる。江戸前の仕事に情熱を傾ける星山忠史氏は握りに重点を置く。窓の先で往来する船のような端正な船底型の握り。赤酢と塩を利かせた酢飯で、すし種と調和を図る。昆布や酢の締め具合、煮炊きした種に、職人としての探究心と技が表れる。
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寿し處 あま野|福島区
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おまかせの始まりは、手の込んだつまみから。蒸し鮑、煮蛸、甘海老のウニ和えといった酒肴に、割烹店の経験を生かす。握りも同様に、一手間を加えた種を用意。烏賊は隠し包丁が甘みを引き立て、車海老はだしに漬けることで風味が増す。すし種と赤酢の利いた酢飯を小振りに握り、一貫の調和を図る。
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鮨 村上二郎|北区
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二部制で毎晩賑わう“村上劇場”。人情味あふれる夫婦のもてなしが客を魅了する。主人は実直なすし職人。素材重視で各地の魚を集めつつも、味を支える醤油や赤酢は故郷から。縁を大切にする。熱意を込め、握りは漬け鮪から。女将との掛け合いが場を盛り上げる。筋書きのない振舞いに、思わず頬が緩む。
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鮨ろく|北区
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すし屋の本分を示すかのように、おまかせは握りの一貫から始まる。堀内紀久氏は江戸前流を基本としつつ関西文化を尊ぶ。柿の葉すしを挟むのが、その好例。種に工夫を凝らし、白と赤の酢飯を使い分ける。漬け鮪は握ってから海苔で包む鉄火巻風。秋刀魚の炙りと鬼おろしは、秋刀魚の塩焼に想を得た。
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鮨 悠伝|天王寺区
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江戸前の技を尊ぶ西村氏。明治創業のすし屋で修業し、昔ながらの仕事を身に付けた。烏賊の印籠煮、白魚の桜の葉蒸しはその好例。赤酢のみで切る酢飯。握りは白身で始め、干瓢巻きで締めるのも伝統を踏まえるゆえ。おまかせは、味の流れに抑揚を出すため、寿司とつまみを交互に出す。
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鮨 三心|中央区
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古典の技を大切に、磨き続けるのが石渕佳隆氏の信念。江戸前の手法を踏まえ、魚に独自の工夫を施す。観音開きにする車海老、たたいてから握る蛍烏賊も独特。米は稲作から関わり、滋賀で育てた専用米を使う。「三心」とは、料理人の心得を説く禅語。心に響いた言葉を屋号に、寿司の進化を志す。
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松寿司|阿倍野区
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暖簾を掲げて半世紀。二代目の谷川洋平氏は代替わりを機にすしの探究を始めた。東京のすし屋を食べ歩いては技術を吸収。酢飯に赤酢を加えたのも種との調和を図るため。酒肴の種類は控え、握りに力を注ぐ。一貫目は旬を迎えた魚。春はとり貝、夏には鰯、秋は鯛、冬には鰆など、大阪湾から届くすし種を握る。
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寿司処 かい原|北区
Bib Gourmand
黙々と仕事に専念する開原義達氏は独学のすし職人。握りに光を当てるように、作務衣を身にまとい黒子役に徹する。トロに泡醤油、雲丹には海苔醤油を添えて独自の味わいを供す。飾り包丁を施した烏賊、低温調理の牡蠣も素材と向き合う姿勢が表れる。まずは八貫楽しみ、旬の味や好みの種を追加したい。
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寿司常|北区
Bib Gourmand
明治24年創業のバッテラ発祥の店。舟形の木枠で押すことから、ポルトガル語の小舟と名付けた、鯖の押し寿司が名物。四代目の石川里留氏は、箱寿司の店で修業を重ね、再び暖簾を掲げた。先代譲りのあじの棒寿司にも職人技が生きる。大阪に息づく寿司文化を後世に伝えている。
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あかとしろ|北区
Bib Gourmand
すし種を支える“あかとしろ”。鮪や青魚に赤、海老や白身魚に白と、種に応じて二つの酢飯を使い分ける。赤酢は江戸前すしにちなむ関東風。米酢と砂糖は押し寿司に根付く関西風。東西の文化による紅白混合のバトンリレーで心を汲む。二色の酢飯は魚に合うばかりか、日本人にとって縁起のいい色だ。
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さか本 鮨|此花区
Bib Gourmand
“大衆のすし屋”を思い描く坂本恵氏は気さくな大将。カウンターで職人仕事を見せながらすしを握る。定番は茹でたての海老の手鞠寿司。ほんのり甘い米酢の酢飯が関西らしさを引き立てる。トロタク巻は鮪を叩く演出が楽しい。鰯は蛇腹に飾り切り、キンキの炙りは肝を添える。一手間加えたすしに腕を鳴らす。
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寿し処 黒杉 心貫|北区
Selected Restaurants
単品が主流なのは普段使いの店でありたいから。魚に仕事を施し、酢飯に赤酢を利かせ、握りすしの歴史に倣う。白身は昆布で締め、甘海老は味噌に漬けるなど一手間。客にあっさりした味を求められたことから、芽葱やキャベツといった野菜も種にした。屋号に「心貫」を掲げ、職人が一貫ごとに心を込める。
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寿し 京町堀 佐藤|西区
Selected Restaurants
和食の経験が生きるつまみと握り。手作りの豆腐や野菜のすり流しで始まる。甘鯛は松笠焼、鱧やクエはしゃぶしゃぶにし、温かい料理を組み込む。すし種は、やわらかく炊いた煮蛤や煮穴子など昔ながらの仕事を施す。つまみと共に色々味わってほしいと、赤酢と塩を利かせた酢飯で握るすしは小振り。
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